忙しくてゆっくり昼食を取る暇がない、
かといってファストフードやコンビニ弁当ばかりでは健康面で不安―
そんな人たちをターゲットに生まれたのが「オフィスおかん」だ。
“プチ社食”で福利厚生!? いつでも定食が食べられる「オフィスおかん」
“プチ社食”で福利厚生!? いつでも定食が食べられる「オフィスおかん」
サバのみそ煮や肉じゃがなどの和総菜、ご飯類、スープ類など約30種のメニューを定期的に供給する。
利用する場合は冷蔵庫から好きな食品を取り出して代金を集金箱に入れ、レンジで加熱して食べる。
つまり、置き菓子ならぬ“置き総菜”サービスだ。
これにより、できたての味わいを維持しながら長期保存ができるわけだ。
●全メニューを“無添加、無化調”にできるワケ
提供する総菜の大きな特徴は
食品添加物や化学調味料を使用していないうえ、1カ月の冷蔵保存が可能なこと。
これは総菜を供給する「大津屋」(福井県福井市)が開発した、
加熱を冷却と同じ工程で一瞬にして行う調理法によるもの。
加熱と冷却を別工程で時間をかけて行う方法より雑菌が付着・繁殖する機会が圧倒的に少ないという。
「大津屋さんとの出会いが総菜を宅配するサービスを始めるきっかけだった」と、
おかんの沢木恵太社長。
食べてみると、タケノコはコリコリ、カボチャの煮物はホクホクと出来たてのような歯ごたえが感じられ、
レトルト総菜とは思えない本格感。
量販店の総菜は保存性を高めるために糖分を多めに入れているものも多いが、
こちらの総菜は塩分も糖分も控えめだ。
また、いつでも好きなときに好きなだけ食べられるのもポイント。
●初期費用はゼロ、企業が福利厚生の一環として採用
置き菓子と異なるのは、企業の福利厚生の一環として取り入れられていること。
初期費用はなく、
採用企業は基本料金(従業員1人あたり200円)と納品された商品1個あたり220円を負担。
これにより、利用者は商品1個あたり100円または200円と手ごろな価格で購入できる仕組みだ。
400円もあれば定食が味わえる。
また、いつでも好きなときに好きなだけ食べられるのもポイント。
導入した企業ではランチタイムだけでなく、
残業時や夜食・朝食用にテイクアウトする社員も多いという。
たしかに栄養バランスの整ったヘルシーなメニューが多いので、
健康を気にする人の夜食には最適だろう。
「社員食堂を設けようとするとイニシャルコストやランニングコストが数百万円にも上るので、
中小企業では導入が難しいのが現状」(沢木社長)。
同社のシミュレーションによると、従業員数320人の企業がオフィスおかんを導入し、
4分の1の従業員が週に3個利用した場合の企業の負担は
月額27万5200円(80人×月12個×企業負担220円
=21万1200円+基本料金200円×320人=6万4000円)。
従業員120人の企業で同じ条件なら月額10万3200円となる。
2013年3月から開始したおかんは順調に売り上げを伸ばしたが、
当初のターゲットであるビジネスパーソンの購入だけが伸び悩んだ。
そこでオフィスをターゲットにしたBtoBサービスへの進出となった。
ただ宅配ビジネスでネックになるのが、
配送コストだ。「すでに配送チャネルを持っている企業と連携し、
既存ルートに組み込むことでコストを削減。
水平分業型でリスクを分散している」(沢木社長)。製造や配送は専門業者に任せ、
同社はブランドマネジメントと集客に注力する。
「今後は顧客データを集積し、企業ごとのメニュー提案、
さらに冷蔵庫に組み込んだ端末でクレジットカード決済できるようにし、
商品の動きや賞味期限をリアルタイムで把握できるようにしたい。
仕事と食生活のバランス=『ワーク・フードバランス』を見直すきっかけになれば」と沢木社長。
初年度は東京エリアのみの展開となるが、
今後は商品ラインアップやエリアを広げ、
2014年11月30日までに導入企業100社を目指す。
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